中東書記(聖書と呼ばれる書き物)を読まない男、紙様にぼやく

本、新聞などの記事について もごもごと感想を書きつつ、どこぞのカルト宗教に取り込まれてしまった方々についてぼやいております。

「無輸血手術 〜エホバの証人の生と死〜」を読んで

 エホバの証人と関わる以上はそれなりの関係資料を読んでおいた方がいい。

エホバの証人自身の書き物は当然のことながら、彼らを批判する書き物や、比較的客観的に彼らを捉える書き物も読む必要がある。

そんな中でみつけた「無輸血手術」は、エホバの証人の無輸血手術を何十件もこなした医師の書いた本だ。以前にもこの方の本をエホバの証人関連で読んだことがあるので、余計に興味が湧いた。

 

さて、読んでみた後、せつなくなった。

これほどエホバの証人に誠実に対応してきた著者が、半ば裏切りに遭うような形で病院を辞めてしまう。本の最後の章になるまで、著者の務めていた病院のオーナーがエホバの証人だと分からなかった。大鐘さんもわざと最後まで書かなかったのだろう。

エホバの証人にとって輸血は死んでも避けなくてはならないものらしい。そのため輸血をしない手術でないと受け入れてくれない。

それならエホバの証人で医者を育てればいいじゃないかと思うが、実際には解剖もすればインターンで輸血の必要な手術に駆り出される可能性もあるので、信者が医者、特に外科医になるのは相当むずかしいだろう。だからこそ、未信者の医師に協力を仰ぎ、場合によってはそのまま信者になってもらおう、という目論見がオーナーにはあったのだろう。

 

著者はエホバの証人を特別扱いせず、一人の患者として向き合ってきた。エホバの証人の考え方に同意した訳ではないが、患者の意志になるべく従おうとした。

それなのに証人のオーナーから受けた仕打ちには我慢できなかったのだろう。

 

エホバの証人に関わるようになった方にはおすすめの一冊です。

 

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