断婚までのカウントダウン
きっかけは余ったご飯をツマが無視したことだった。
こちらがけしかけて起こった夫婦喧嘩。
いつものごとく宗教の話に移った。
表面上何も起こっていないような状態だったが、自分の中にはいろいろと溜まっていたようで、言った。
「下の息子が小学校を卒業するまでに結論を出そう」
つまり、いわゆる離婚宣告だ。
ツマは喰いついて怒った。
いろいろと言っていたがどうでもよかった。
顔は赤くなっていたが全然怖くない。怒っているはずなのに怒っているような顔でないというか、顔を微笑みに固定したせいで怒りの表情を作れなくなったような、できそこないののっぺりお面のような顔だった。
「私の何が悪いの」とか言っていたが、もうそういうレベルではない。
ツマと一緒にいるメリットが何もなくなった。むしろデメリットばかりだ。
まったく反対の方向を向いた二人ではお互いにエネルギーのムダだから、ツマと同じ方向を向いた霊的な男性と一緒になった方が幸せになれるよ、と助言した。
ツマは中東書記に従って「別れない」という。
自分は、趣味の宗教を子供に押しつけなければ考える、てなことを言ったが、ツマはJWの活動を「いいことだから息子にやらせる」と言って聞かない。
まあいつもこの話題は平行線のままのなのだ。だからそいつにキリをつけるために言ったのだ。
我ながらろくでもないオットだと思う。ツマをさんざんこき下ろして罪の意識を感じないのだから。
しかしそのとばっちりは息子たちに行く。
今回のことだって、自分が我慢していれば何事もなく終わったのだ。
でも自分には我慢ならなかった。言葉が止まらなかった。
ツマの怒りの矛先は自分だけでなく息子たちに向く。
オットとしてもろくでもないが、チチとしても最悪だった。
もうこれまでの日常はない。
どうしようもないさらにひどい日々の始まりになるかもしれない。