Doctor Guessのきらめく嗜好実験 2
Doctor Guess(以降G):みなさんこんにちは、ドクトル・グェスじゃ。前回は失礼したのう。まあ科学者はそんな気まぐれな自然現象にも付き合わなければならないということが分かったと思う。
O-Siri(以降Si):ゲス博士、付き合わされたのは観客の皆様であなたではありませン。
G:ゲス博士言うな!おいこのポンコツAIをなんで連れてきた!
M助(以降M):傾斜の測定とナビに必要だからってドクトルが持ってこいと言ったじゃないですか。
(M助のリュックの背中からO-Siriのモニタ部分だけが出ている。今回のためにバッテリー駆動にしている模様)
ああ皆さんこんにちは、今回の「きらめく嗜好実験」は、野外実験として、登山をしています。我々が向かったのは福引県にある「瀕縫山(ひんぬうやま)」。
霊験あらたかな山として、過去には多くの登山者がここを目指しましたが、最近では登山者の数が減少しています。
そこで今回、ドクトルと私が瀕縫山に挑み、その魅力と面白さに迫ります!
ドクトル、ここが登山口になります。
G:ん、このバス停みたいなところが。
Si:(ゲス)博士、左に標識が立っています。GPSによる位置も間違いありませン。ここが出発地点となります。
G:ぜんぜん山っぽくないのう。
M:進んでいくにしたがって険しくなっていくんでしょう。ではしゅっぱーつ!
・・・1時間経過・・・
G:大して登っていない気がするんじゃが。周りに木もないし草原をずっと歩いているだけじゃぞ。
M:Siri、道を間違えていないかい?
Si:ルートに間違いはありませン。
G:歩くだけでくたびれた。休憩しよう。
一同、少し開けた場所で休憩する。
G:ふう、木陰がないので直射日光がきびしいわい。
ふとドクトルが目を向けた先に窪地がある。
ドクトルは一瞥してから何もなかったように寝転がる。
休憩後
G:では出発じゃ。
M:それにしても地面が硬い。すぐ下に骨でもあるかのようだね。
Si:表層の土壌はごく薄い層になっており、すぐに岩盤となっているようです。
・・・また1時間経過・・・
G:どうなってるんじゃ、大して登ってもいないし降りてもいないぞ。
M:若干傾斜はあったような気もするけど・・・
Si:行程終了。
G・M:へ?
Si:瀕縫山登山ルート、これにて終了です。
G:おいSiri、頂上なんてなかったじゃろ、どうなってるんじゃ!
Si:1時間28分前に停止した場所が頂上でした。
G:なぜそこで言わん!
Si:分かっていると思っていました。
G:その空気の読み違い、AIでするか?
M:まあまあドクトル落ち着いて。SIri、あそこに頂上らしきものはまったくなかった。Siriには分かるものがあったのかい?
Si:GPSデータによる位置の特定、及び、頂上にある陥没地盤で特定しました。
G:あのへこんだ部分が頂上だったって?
Si:大昔の資料によると、その窪地は昔、水の湧き出る泉だったそうです。
また、伝説では、男性の修行者がその泉に入って真言を唱えたところ、泉の水が吹き上がり、まぼろしの頂上が隆起したとの言い伝えも残っています。
G・M、顔を見合わせる。
G:瀕縫山の魅力・・・あるか?
M:あります。
G:なんじゃ。
M:山を山と気づかせないという、つつしみ深い女性のような存在じゃあありませんか。そんな山の存在を感じられるような繊細な気持ちこそ、科学者に必要なものではありませんか。そしてその存在意義を証明してこそ科学者冥利につきるってものです!
G:こじつけ臭い気もするがの・・・
Si:ゲス博士、変態M、頂上に戻りますか?
G:戻らんでいい。男は振り返らないものだ。
M:ドクトル、頂上で休憩した時に水筒忘れませんでした?
G:あ! ・・・・M助くん、頂上付近の写真撮影ができなかったので、今から行ってきてくれたまえ。
M:そんな殺生な〜。
G:わしは一足先に帰ってレポートを書くから。
M:だったらSiriを持ち帰ってくださいね(とSiriの入ったリュックをドクトルに背負わせる)。
G:お、お、お、こりゃ重い(M助めこんなものを平気で背負ってたんかい)。
Si:バス停までの距離、1.2km。ゲス博士の到着予想時間、30分。消費カロリー、670kcal。
G:そんなとこだけ詳細にナビせんでいいわ!!!!!
ドクトル・グェスのきらめく嗜好実験 2 完