納得
少し前のこと。
休日。
ツマが2回めの洗濯をしていた。タオルケットを洗濯していたようだが、脱水の最初でピーピー洗濯機が警告音を発した。
対応はツマがするだろうからと放っておいた。
ツマは何かしているようだったが、しばらくするとまたピーピー。
3,4回ピーピーが鳴ってから「何なのこれ!」と、わざとなおじに聞こえるような叫びに近い独り言が聞こえた。
しばらくして寝ている自分のそばにツマがやってきて、
「洗濯機がおかしいんだけど」と言ってきた。
(だけどの先を言ってくれ)と心の中で舌打ちして洗濯機に向かった。
中にはタオルケットが2枚、洗濯槽の壁に不格好にへばりついている。
脱水をかけてみるとしばらくウィンウィン洗濯槽が回転した後に注水が始まった。
今の洗濯機にとってはほぼ普通の機能で、すすぎなどで洗濯槽に洗濯物が片寄っていると、注水して軽く回し、洗濯物が均等に洗濯槽に散らばるようにするものだ。
しかし今回の相手はタオルケット。そう簡単に均等配置にはなってくれないようで、同じことを何度も繰り返していたようだ。
2回目の注水の始まるのを見たツマが「やめて、洗濯物が傷んじゃうから」と言った。
自分は1回目はできるだけ優しい口調で状況を説明したつもり。
理解できないのか納得できないのか食い下がるツマ。
ツマに対する情のない自分は、極端に冷徹になって「修理業者に連絡すれば?」と言い放ってその場から去った。口で説明するのもうっとうしいので裏紙に状況の説明(故障ではないこと)をなぐり書きしてテーブルに置いておいた。
ツマがその状態を放置していたので、とりあえずずぶ濡れのタオルケット1枚を取り出して物干しにかけた。ボタボタとベランダに水滴が垂れる。
その状態で脱水をかけてみると正常にドラムが回りだした。
洗濯機が正常に回っているのが分かったのか、ツマは脱水の終わったタオルケットを物干しに干すと、まだ水滴の垂れているタオルケットを洗濯機に放り込んだ。
次の休み。
リビングで本を読んでいるとピンポーンと訪問者。
洗濯機のメーカー技術者だった。
洗濯機の状況を何分か確認してツマに言った。
「異常は見当たりませんね(以下略)。」
リビングで本を読みながら会話を聞いている限りでは、技術者の方は自分が書いた内容と同じことを話していた。
はあ、嫌いな人間の説明には全然耳を貸さないのね。
翌日ツマはボヤージュにキッチンタイマーを持たせて洗濯機の運転時間を計っていた。
どうやらメーカーの説明にも納得がいってなかったようだ。
ツマの頭の中が読める。
「なんで私の思う通りにならないの!」
阿呆、
メーカーに電話する前にエホバに祈れっての(笑)。