「西遊記」を読む
はてなブログにはリンクを貼っていなかったので、こちらにも貼っておく。
さて、少し前に「水滸伝」に関する本を読んだ中で「西遊記」のことも書いてあった。
そういえば、西遊記って本は読んだことがなかった。
堺正章主演のドラマとか、絵本でとかしかくらい。
よっしゃ、ここはひとつ読んでみるか、と思って図書館で借りたのが、
これまで勧善懲悪の物語だと思っていたのだが、この物語、深い。
主要な登場人物である玄奘三蔵・孫悟空・猪八戒・沙悟浄は、人間のあらゆる面を表現しているように感じた。
悟空からは怒り・暴力、八戒からは様々な欲望、悟浄からはあきらめや自己否定のようなもの。三蔵は彼ら三人を導こうとするが、自らの感情を制御しきれないことで思い悩む。
最終的に悟空も八戒も悟浄も、旅の中で成長し、自らの感情や欲望を抑えられるようになっていく。
一連の物語の中で、悟空は三蔵に対してただひたすらに尽くす。序盤では三蔵に歯向かうことが多々あったが、いくつかの出来事を通じて三蔵を師匠と仰ぐようになっていく。その純真な姿は、母を慕う子のようでもあり、JWのことを考えると少々せつなく感じた。
そして三蔵一行の行く手を阻む妖怪たちにもそうなった理由があり、単純に悪、と決めつけられないところもある。大体の妖怪が、天上の仏様の家来だったり乗り物だったりペットだったり。時には過去に悟空の働いたいたずらのせいで招いたものもあったり。
仏たちも完全無欠ではなく、時に弱いところを見せ、時に優しい。どこぞの絶対紙んより好感が持てる。
平岩弓枝さんの脚色もあるかもしれないので、次は中国人作家の翻訳ものを読んでみようかと思う。