「世にも奇妙な人体実験の歴史」を読む
今回読んだのはこれ。
「はじめに」が「マッドサイエンティストの世界へようこそ」というタイトル。
各章のタイトルをいくつか抜粋すると、
・淋病と梅毒の両方にかかってしまった医師
・メインディッシュは野獣の死骸
・サナダムシを飲まされた死刑囚
・伝染病患者の黒ゲロを飲んでみたら
・偏食は命取り
・爆発に身をさらし続けた博士
・ナチスドイツと闘った科学者たち
・超高圧へ挑戦し続けた潜水夫
などなど。
医療や軍事など、様々な問題や分からないことに対して科学者たちが自らの肉体を使って挑戦し、克服・達成したか、という内容だ。
想像力豊かな方がこの本を読むと、悪夢にうなされてしまうかもしれない。自分もそのイメージをまともに抱くと先に進めなくなりそうだったので詳細な想像はしないことにした。それでも彼らの挑戦は凄まじいものだ。
伝染病の原因が何かを突き止めるため、患者の膿を自分の傷口にすりつけたり、嘔吐物を飲み込んだり、たくさんの蚊の入った容器に腕を突っ込んだりした医師たち。
真水なしで海に放り出されたらどのようにして生き延びるかを、自ら海に漂流して実験した海洋科学者。
ナチスの毒ガスに対抗すべく、死刑囚を使って防毒マスクを作成した科学者。
どこまで高い空まで登れるか、どこまで深い海まで潜れるか、を追求しつづけた科学者。
音速の壁を超えるまでにテストパイロットが受けた試練、などなど・・・
すべての出来事に通じることは、彼らが何かに貢献したいだとか誰かの役に立ちたい、という理由よりも、知的好奇心の方が勝っている、ということだろう。それが彼ら自身を実験台とするのに駆り立てたのだろう。
そこに紙の割り込む余地など1ミクロンもない。彼らは奇跡を求めていたのではない。ましてや紙に救いを求める気などまったくなかったに違いない。彼らはただ確実な答えを自分の体でつかみたかったのだ。