中東書記(聖書と呼ばれる書き物)を読まない男、紙様にぼやく

本、新聞などの記事について もごもごと感想を書きつつ、どこぞのカルト宗教に取り込まれてしまった方々についてぼやいております。

「AIに負けない子供を育てる」を読む

新聞でのレビューに興味を持って借りてみたのがこの本。

AIに負けない子供を育てる

 

著者はまず、AIというものに多くの人達が過大な期待や恐れを持ちすぎている、と説く。

雑な表現をすれば、計算機(コンピュータ)には、人間の脳の能力を超えることはできない、ということ。

しかし、数学者でコンピュータに大学受験をさせるプロジェクトを率いていた著者が本で言いたいのはそこではない。

コンピュータ並の読解力(理解力)しか持たない人間が実は非常に多く存在する、ということなのだ。

 

以前、国語力、特に読解力が大切だと記事に書いたことがあった。

世間にちらばっている問題は、数式とか空白やカッコがあるわけじゃない。書類を読み、図や表、グラフなどを見てそれを理解し、問題への答えを出すことが大多数だ。

文章に書いてあることを正確に読み取らなければ間違いが起こる。理解するのに時間がかかればこなせる仕事量も限られてくる。テストでいい点数を取っていた子が社会に出たらまるで役に立たない、なんてことにもなるのだ。

 

個人の読解力がどの程度なのかは、本に載っているテストをやってみるか、リンク先のサイトで「リーディングスキルテスト」を受けてみるとよい(有料らしい)。

www.s4e.jp

 

自分も本に載っていたテストをやってみたが、28問中19問正解。

そこそこできてるか、とも思ったが、「易」の問題を間違ったりしている。

そのテストをやって分かったことは、「自分は『定義』を正確に理解する能力が低い」ということだった。テスト中に出題された、「定義」を元にしてその定義に合っている事柄をすべて挙げよ、という問題に対して、4問中2問を間違った。1問については「不足数」という定義が理解できていなかったからだったが、それ以前に「約数」の定義を忘れていた、という原因もあった。

思い返すと、分からない言葉があっても前後の文脈から「こんな意味だろう」とあいまいに解釈し、場合によってはその部分を読み飛ばす、なんていうこともよくやっていた。テストをやったことでそこに気づくことができた。

 

小学生の息子たちにも何問かやらせてみた。このテストは読解力を計るものなので、年齢はそれほど関係ない。ソースはうーんと悩みながらも、こちらで選んだ3問中2問を正解した。

「これ、なんか、すごく頭を使うね」とはソースの感想。

そういうことなのだ。言い換えれば、今のテストは頭を使わなくても答えの書ける問題が多いということかもしれない。

 

 

さて、これだけ社会や家庭の中にIT機器が入り込んでいる中で、人間の優位性を保っていくにはそれなりの努力が必要だ。人間にしかできないことはあっても、それを磨かなければIT技術に劣ってしまう。

読解力を磨くことは、仕事や勉強をスムースに進める糧になる。そして間違ったことを鵜呑みにするのを防ぐ盾にもなる。

どこぞの宗教団体の書いた文書を読み、「だから〜は正しい」という論法が通るかどうか、判断できるようになる。

 

今の世の中では、情報を遮断することが難しくなっている分、限られた情報だけを相手に与えて取り込もうとするのも難しいと思う。その反面、情報提供が過剰になって「どれが正確な情報なのか」分からなくなってしまう。

人は自分に都合のよい情報ばかりを集めがちだ。あふれる情報の海の中で、何が正確で何があいまいであやしいことなのか、少しは頭を回して気をつけたいものだ。