輸血とシートベルト
ツマは手術のことについては謝罪したが、「血を避ける」ことについては信条を曲げる気はなかった。
「血は命です」とか2000年前の本に書かれていることを挙げては、自身は間違っていないと主張した。
そんなやり取りの中でツマが言った。
「シートベルトをするのはなぜですか?」
「命を守るため」
「そうです。私も命を守るために輸血はしません」
「輸血は、人間が命を守るために編み出したものだ。シートベルトも人間が命を守るために開発した。紙がアテにならないから人間が生み出したものだ。シートベルトが聖書に書いていないからシートベルトをしないやつはいないよね。輸血だってそうだろう
?」
ツマから反論はなかった。
所詮誰かから聞いた言葉を理解もせずに言っただけ。会衆内では何も言われないだろうが、現代世界を都合よく生きているエホビアンはボロが出やすい。