「死ねばいいのに」
タイトルを見ただけでびびくってしまった方がいらしたら申し訳ない。
いつもなら「『・・・』を読む」と書くところをわざと書かないでおいたのだ。
けっこう前に出版された作品で、新聞に広告が載っていたのを見てからずっと、機会があれば読みたいなあと思っていた。
先日、予約した本を取りにいったついでに書架を眺めていて「そういえば」と思い出して借りたのがタイトルの「死ねば いいのに」。
京極夏彦さんの名前は様々なメディアで目にしていたが、作品を読むのは初めて。
一人の女性について、「知り合い」と名乗る男が関係者に彼女のことを聞いてまわる話。
警察の事情聴取や報道記者の取材のような聞き取りではない。
ただ彼女のことを知りたいという男が、彼女のことを知っているはずの関係者に彼女のことを聞いているのに、いつの間にか別のことを聞かされてしまう。
読んでいるうちに、ソクラテスと、世間で権威があるといわれている人との対話を思い出した。どうも男がソクラテスのように見えてくる。
相手が様々なしがらみや解決のできないものごとを抱えていて、身近な人のことを見ていなかったことがあぶり出されてくる。
男が普通の人ならそこで「ああしょうがないですね」と言って話は終わるのだろうが、男はごく正論で相手を追い詰めていく。無垢な子供のように「なぜ」「どうして」を繰り返す。
そして・・・
書いているうちに、男がコンピュータのような存在にも見えてきた。
自分のつたない感想では興味が湧かないかもしれないが、気になる方はどうぞ。
さて、最近朝日新聞の土曜版「Be」に「毒親」の特集記事が載っている。
面白いイラストがあったので貼っておく。